上顎片顎抜歯で上下の歯数が合わなくても問題ありませんか?|アクイユ矯正歯科クリニック(所沢市)|埼玉県新所沢駅の矯正歯科医院
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上顎片顎抜歯で上下の歯数が合わなくても問題ありませんか?

患者様からのご質問

上顎の歯は2本抜歯で下顎の歯は抜歯しない、とお聞きしましたが、上下の数が合わなくても噛み合わせは問題ないのでしょうか?

当院からのお返事

上顎の片顎抜歯は上顎前突症の治療においてしばしは採用される治療方針です。
少し長くなりますがが順を追って説明してみたいと思います。

まずは上下顎両側の7番まで、28本の永久歯が揃っている場合の標準的な咬み合わせは下図のようになります。上顎の5番が下顎の5番と6番の間に位置しています。このような奥歯の咬み合わせを1級咬合といいます。
1級 CL1

次に抜歯部位として最も頻繁に選択されるのが4番目の歯になります。下図で赤色で示した歯です。上顎の片顎抜歯の場合、これを抜歯してその隙間を詰めることになります。

4番抜歯

隙間を詰めた場合の咬み合わせが下図になります。1級咬合では下顎の5番・6番間に位置していた上顎の5番が下顎の4番・5番間に位置しています。
上顎の歯の本数が下顎に比べて2本(下図は片側図なので1本)少ないですが、最後方臼歯まで対合歯があります。このような奥歯の咬み合わせを2級咬合といい、上顎前突の治療を行う際の治療目標の設定として一般的なものです。2級 CL2

最後に下顎の片顎抜歯の場合を考えてみます。下図で赤く示した下顎の4番を抜歯してその隙間を詰めます。
下顎4抜歯

すると次のような状態になります。下顎の5番・6番間には上顎の4番が位置しています。このような奥歯の咬み合わせを3級咬合といいます。このような抜歯部位を選択するのは主に下顎前突症の患者様に対してです。
ただし、先ほどの上顎の片顎抜歯と違って上顎7番の対合歯が存在しません。この抜歯部位を選択した場合の問題点になります。
この状況を回避するには外科手術を併用した矯正治療を選択することになりますが、やはり全身麻酔下の外科手術を回避したいというご要望は強く、選択肢の一つになります。
実際に下顎4番抜歯(矯正治療単独)で治療を行うか、外科手術を併用した矯正治療を行うかは患者様とご相談のうえで決定することになります。
3級 CL3 上顎7番の対合歯がない

抜歯をしないで矯正治療が可能であればそのほうがいいのですが、それでは治療ができませんので抜歯をすることがあります。
矯正治療に限らず、医療というものは全てメリットとデメリットを天秤にかけて行うものです。痛み止め一つとっても効能と副作用は天秤にかけられています。ただ、バファリンなど、市販の解熱鎮痛剤は副作用が無視できるほど少ないがゆえにほとんどの方が効能だけを考えて服用しているに過ぎません。
矯正治療の抜歯につきましてもメリット、デメリットを天秤にかけたうえで決定されているとお考えください。

片側抜歯や左右非対称な抜歯部位について

これまでご説明したのは上顎だけの抜歯や下顎だけの抜歯についてですが、矯正治療ではそれ以外にも左右いずれかのみの抜歯や、左右ともに抜歯するけれども位置が左右で異なる(例:左側は第一小臼歯、右側は第二小臼歯)抜歯部位が選択されることもあります。
多くは左右で奥歯のかみ合わせが異なることが理由ですが、大きな虫歯が原因で左右で異なる抜歯部位が選択されることもあります(例:通例なら両側第一小臼歯抜歯だが右側の第二小臼歯に大きな虫歯があるため左側は第一小臼歯、右側は第二小臼歯を抜歯する)。また、先天欠如歯・矮小歯・形成不全歯の存在により左右非対称な抜歯部位が選択されることもあります。

*このページは実際に患者様からメールで頂いたご質問に対する当院のお返事を中心に記載しております。そのため、患者様からの質問内容については年齢、性別、文章の特徴等、Q&A形式で考えて問題ない範囲でデフォルメして記載しております。また、内容的にも理解が得られやすいよう適宜解説を追加して記載しておりますのでご了承ください。