抜歯症例を非抜歯で治療することがありますか?|アクイユ矯正歯科クリニック(所沢市)|埼玉県新所沢駅の矯正歯科医院
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抜歯症例を非抜歯で治療することがありますか?

患者様からのご質問

現在非抜歯で矯正しています。歯の状態は歯が内側に極端に倒れていて、歯列の幅も狭く、噛み合わせも深いです。また、様々な不定愁訴があるような状態です。

担当医によると、下の前歯が凸凹していて本来なら抜歯が必要なケースだが抜歯をするとさらに歯列の幅が狭くなり不定愁訴なども酷くなる可能性があるから非抜歯で行うとのことです。

現在21歳で中学生の頃に非抜歯で一度矯正をしましたが後戻りしてしまいました。親知らずが斜めに埋まって生えていたりしましたが、今回、再治療を行うにあたりすべて抜歯しました。

ワイヤーによる治療の前に上下顎ともに床矯正装置で歯列を広げました。現在は倒れている歯を起こすため下顎にだけワイヤーを装着しています。上顎にはマウスピースを装着しています。

床矯正装置による拡大を終え半年以上経過しましたが、上顎の歯列が狭くなってきています。特に右側です。もともと上顎も下顎も右側の歯が内側に倒れていたようです。
今後すべて拡大して広がってもまた戻るのでは?と思うのですがどうなのでしょうか?
また抜歯が必要なケースだがやむを得ず非抜歯で矯正治療を行う自分のような場合もあるのでしょうか??

当院からのお返事

・上顎の歯列が狭くなってきた理由について
床矯正装置での拡大ののち、下顎は唇側矯正装置を装着し、上顎はマウスピースで拡大幅の維持を行っているところだと思われます。同時に上顎に唇側矯正装置を装着しないのは物理的に装着できない、咬み合わせが深いとの記載がありますからマウスピースによって一時的に咬み合わせを挙上している等、何らかの理由があるものと思います。
マウスピースを指示通りの時間使用していれば歯列の幅が狭くなってくることはないはずなので、考えられる要因としては下顎にのみ装置を装着している状況なので下顎歯列の拡大が進行し、相対的に上顎の歯列の幅が狭くなってきたように感じている可能性があります。

・後戻りについて
歯列幅径(特に犬歯間幅径)の拡大を伴う矯正治療は後戻りしやすいといわれています。ご質問者様は過去の矯正治療後に後戻りした経験がありますから、今回もその可能性を否定することはできません。
矯正治療後の保定が非常に重要になると思います。リテーナーを長期間使用する、場合によっては歯の裏側をワイヤーで永久固定する(Fixリテーナー)などの方法が有効かもしれません。

・抜歯が必要だが非抜歯で治療を行うことがあるかについて
矯正治療における抜歯、非抜歯の判断に竹で割ったような明確な判断基準は存在しません。10名の患者様がいれば1名くらいは誰が考えても抜歯でしょう、1名くらいは誰が考えても非抜歯でしょうという患者様がいるよね、とは思いますが、残りの8名は歯並びのことだけを考えれば抜歯・非抜歯のいずれでも治療が可能で、顔貌を含めた術後の審美性や安定性を考慮に入れて抜歯するか非抜歯にするかを検討します。
ご質問者様の場合、上の例でいえば8名の中に含まれているが、より抜歯を選択する歯科医師の割合が多い症状なのだと思います。

矯正治療はこのような理由で、歯科医師による抜歯・非抜歯いずれが妥当であるかの判断に、患者様毎の諸条件を加味しながら治療計画の摺合せをおこなっているというのが現実です。

矯正治療後の後戻り(リラプス)について

矯正装置撤去後、何もせずに放置するとほぼ間違いなく後戻りします。後戻りの程度は個人差がありますが、後戻りリスクが高いケースとしては「治療前の凸凹が大きい」「側方拡大を伴う非抜歯治療」「極端に短い治療期間(これはワイヤーを装着している期間も保定期間とオーバーラップしていると考えると理解しやすいでしょうか」などが挙げられると思います。
とりわけ装置撤去後2か月程度の後戻りは急速かつ大きく生じます。

矯正装置を撤去した直後の状態は例えると骨折して骨を整復した着後の状態に似ています。骨折の場合、整復したのちにギブスで数か月間固定することになりますが、ギブスに相当するのが矯正治療の場合は保定装置(リテーナー)になります。

矯正治療は唇側の矯正舌側矯正(裏側の矯正)マウスピース型矯正装置「インビザライン」による矯正など、治療装置の種類に関わらず、実際に歯を動かす「動的治療期間」の後に動かした歯を維持・安定するための「保定治療期間」を設けます。

保定期間の目安は2年、保定の目的は歯を動かし終わった後の歯周組織や口腔周囲の筋肉・組織が新しい歯の位置に応じた正常な組織を形成するまで治療終了時の状態を維持するためです。
治療前の状態を0、治療終了時の状態を10として、5にまで後戻りすることはないにせよ、保定期間を設けなければ7程度には後戻りする可能性があるイメージでしょうか。 それを防止するために保定期間があります。

後戻りに対する臨床的な対応としては、軽度な後戻りであれば取り外し可能な矯正装置で比較的簡単に対応できますが、固定式の矯正装置を再度装着せざるをえないこともあります。

たまに矯正装置を撤去した途端に来院されなくなる患者様がいらっしゃいます。 固定式の矯正装置が外れることは矯正治療において一つの通過点に過ぎませんから、大変だとは存じておりますが根気よく通院してくださいますようお願いいたします。

*このページは実際に患者様からメールで頂いたご質問に対する当院のお返事を中心に記載しております。そのため、患者様からの質問内容については年齢、性別、文章の特徴等、Q&A形式で考えて問題ない範囲でデフォルメして記載しております。また、内容的にも理解が得られやすいよう適宜解説を追加して記載しておりますのでご了承ください。