上顎だけの部分矯正はできますか?|アクイユ矯正歯科クリニック(所沢市)|埼玉県新所沢駅の矯正歯科医院
電話番号:04-2928-0050

HOME >  Q&Aなど >  矯正歯科Q&A >  上顎だけの部分矯正はできますか?

上顎だけの部分矯正はできますか?

矯正歯科Q&A目次に戻る

気になるのは上顎の前歯が出ていることだけなので、部分的に治すことはできませんか?

条件が揃えば可能ですが、この質問、実は医療サイドからすると非常にお答えに窮するご質問なのです。
例えて言えば、トヨタの工場に行って「私は晴れの日しか車に乗らないから屋根無しの車を作ってもらえませんか?」というのに近いご質問ともいえます。

現状よりいくらかでも良くなるのならまだしも、審美性を重視した結果、咬み合わせが悪くなることが明らかな治療はできませんし、咬み合わせは上顎と下顎が1セットとして機能します。鍵と鍵穴の関係に例えても良いでしょう。そのため、ほとんどの場合、上顎の歯並びを治療すれば、下顎の歯並びもそれに合わせて治療しないと咬み合わせがおかしくなってしまうのです。

質問の例でいえば、まずは以下の条件が最も大切です。

1)出ている前歯を動かしたい位置に下の歯が咬み合っていないこと

これは咬み合わせは上下で成り立つものなので上顎の歯だけを考えるわけにはいかないのです。上顎の歯を動かしたい位置に下顎の歯があれば当然下顎の歯も動かさないわけにはいきません。反対に下顎の歯を動かしたい位置に上顎の歯があれば上顎の歯も動かさないと矯正治療はできません。
下の写真の症例では下顎右側2番を配列しようとすれば上顎右側2番も動かさないと配列することができません(青い丸の部分)。
下顎前歯の部分矯正が困難な症例

仮に上顎の前歯と下顎の前歯が1cm以上離れているような出っ歯の場合であれば、下顎の前歯の位置を気にせずに上顎の前歯の配列を行うことができると思いますが、数mm程度しか離れていない場合には難しい可能性が高くなります。
下の写真の症例では上顎前歯と下顎前歯が1cm以上離れています。このため、上顎歯列の配列に際し、下顎前歯の干渉がありませんから患者様が上顎前歯の凸凹だけを治療希望されるのならば配列することは可能です(しっかりと治療するには抜歯が必要な症状ですから部分矯正ではできません)。

2)奥歯の咬み合わせが緊密であること

緊密でない奥歯の咬み合わせを治療することも歯列不正の治療範囲に入るということが一つ。
もう一つは、上下顎に矯正装置を付けない以上、奥歯の咬み合わせは基本的に変化して欲しくありません。
咬み合わせが緊密であればそのこと自体が奥歯の動きをロックする働きをしますから、前歯だけを動かすことも可能なことがあります。

3)抜歯症例でないこと

2と密接な関連のあることですが、抜歯を伴う矯正治療の場合、奥歯まで矯正装置を装着しないと抜歯空隙を閉鎖することができません。当然のことながら奥歯の位置も大きく変化します。「変化させないでください」というのは現実的には無理な要求です。
磁石にはS極とN極がありますが矯正治療に例えれば前歯と奥歯の関係のようなものです。「S極の磁力だけください」というのは無理なのです。ということは上顎の奥歯の歯並びが変化するのに下に装置を付けなければ咬み合わせがおかしくなってしまいます。

つまり
1)出ている前歯を動かしたい位置に下の前歯がないこと
2)奥歯の咬み合わせが緊密であること
3)非抜歯症例であること
上記の3条件を全て満たせば、上だけの部分矯正ができる可能性はありますが、現実的なハードルは患者様が感じる以上に高いとお考えください。

NEXT:マウスピース型矯正装置「インビザライン」に関する用語集

矯正歯科Q&A目次に戻る