電話番号:04-2928-0050

HOME >  Q&Aなど >  歯科雑学コラム >  歯科関連のアレルギーについて

歯科関連のアレルギーについて

*歯科雑学コラム目次に戻る

矯正治療における金属アレルギーについて

歯科金属アレルギーは歯科治療に使用される金属によって引き起こされるアレルギー症状です。

一般的にはピアスなら耳たぶの周辺など、金属が直接接触している部分に発赤などの症状が見られるのですが、歯科金属アレルギーは金属が直接接している口腔内よりもむしろ離れた部位に症状が現れることが多いのが特徴です。これは口腔内から微量の金属が粘膜を通して吸収され血管を通って全身に運ばれているためと考えられています。症状はアトピー性皮膚炎(湿疹、かゆみ)が全体の2/3を占め、他に口内炎などの症状もみられます。

統計学的な調査が行われたとの報告を見たことがないので、発症率をお話しすることができないのですが、経験をお話しさせていただくと27年矯正治療に携わってきたなかで1名の患者様に金属アレルギー症状が現れました。
私だけ偶然頻度が少なかった可能性もありますが、それほど頻繁に出現する症状ではないといってよいと思います。ピアスなどでかぶれるような患者様であっても矯正治療に使用する金属材料でアレルギー症状が生じる患者様はとても少ないように感じています。

なお、私が経験した患者様の経過は、治療を開始して約2週間後に口唇周辺部への湿疹を理由に来院されました。中学生ということもあり、これまでにピアスなどを装着した経験がなく、金属アレルギーの有無は不明とのことでした。

私としては症状から金属アレルギーを疑い、アレルギー反応を引き起こしやすいニッケルを含有しているニッケルチタン製の矯正用ワイヤーを口腔内から撤去してしばらく経過を追うことにしました。

撤去後、1か月ほどで症状が消失したためニッケルに反応した可能性が高いと判断しニッケルチタン製のワイヤーの使用を中止し、以降はニッケルを含有していないゴムメタル(Ti、Nb、Ta、Zr合金)製ワイヤーを使用したところアレルギー症状の発現はみられず、治療を継続しました。
実際にはステンレススチール製である金属ブラケットにもニッケルは含有されているのですがこの患者様の場合にはニッケルチタンワイヤーを撤去するだけで症状が消失しました。

仮に症状が消失しないならば、原因は金属ブラケット中のニッケルの可能性が高いですからニッケルが含有されていないニッケルフリーのブラケットに付け替えることになったと思います。
それでも症状が消失しなければ唇側矯正装置での治療は困難ですから、マウスピースタイプの矯正装置への変更を検討することになったと思います。

日常生活で金属アレルギー反応が生じた経験のある患者様に対する矯正治療前の対策とすれば、治療前に部分的に矯正装置を装着して1か月程経過を観察するということが考えられるでしょう。
治療目的ではなく、あくまで金属アレルギー症状が発症するか否かの確認のために奥歯の目立たない場所に金属ブラケットとニッケルチタンワイヤーを装着します。発症した場合にはすぐに装置を撤去し、対応策を検討します。発症しない場合には矯正治療を継続して問題ないでしょう。

矯正治療におけるラテックス(天然ゴム)アレルギーについて

矯正治療に関係するもう一つのアレルギーにラテックスアレルギーがあります。ラテックスアレルギーとは天然ゴム製品に接触することで誘発される接触部位のかぶれなどが主な症状です。医療現場で使用するハンドグローブの多くはラテックス製のため問題になることがあるのです。
医療用グローブの素材は大きく分けると3種類あって、ラテックス(天然ゴム)、ニトリル(合成ゴム)、ビニールです。
ニトリルとビニールはアレルギーの発症を聞いたことがありませんがラテックスアレルギーの人は割と多い印象です。
当院でもスタッフに過去2名ほどラテックスアレルギーが発症しました。2名とも手の湿疹が生じたので、ニトリルグローブにすることで症状は消失しました。
診療においては接触時間が短いからなのか、患者様にラテックスアレルギーによる症状が生じたことは私の経験上はありません。
しかしながらご不安な場合にはお申しつけくださればニトリルやビニールのグローブを使用して治療を行いますのでご遠慮なくお申し付けください。

~ここからは雑談~
ラテックスグローブの優れているところは第一にフィット感です。少し小さめのグローブを伸ばして着用するので指先に遊びができません。ビニールグローブは論外というか、伸ばすとすぐに破れてしまうのでブカブカです、基本的に。ですからビニールグローブで診療している歯科医師は見たことがありません。ただ、安価なので器具の洗浄なんかにはいいと思います。
ニトリルグローブもラテックスほどではありませんが伸びますし、自分に合ったサイズの製品が見つかればフィット感もラテックスと遜色ないようです。そのため一般歯科では割とニトリルを使用している先生も多い印象がありますが、矯正の先生でニトリルは聞いたことがありません。
理由はプライヤー(矯正のワイヤーなどを屈曲したりするペンチのようなもの)の取り回しがラテックスとニトリルでは全然違うのです。ニトリルは滑らないものが多いです、手のひらでプライヤーをクルクル回そうとすると引っかかる。逆にクルクルする必要のない一般歯科の先生にとってはラテックスのメリットを私ほどには感じないのかもしれません。

私自身はラテックスアレルギーがないので、コロナ禍以前はラッテクス以外のグローブを使ったことがありませんでした。試供品を試しに装着してみたことはありますが。
ところがコロナによって状況が一変してしまいました。ラテックスグローブ生産の国別シェアの詳細はわかりませんが、私がこれまで購入していたのはほぼ100%マレーシア製です。マレーシア製を選んでいたのではなく、そのくらいシェアが寡占に近かったということだと思います。そのマレーシアがロックダウンしたり、世界的に物流が滞ったりでとにかくグローブが手に入らなかったんです。世間ではマスク不足で大騒ぎでしたが、医療関係者にとってはグローブのほうが大変でした(あと消毒薬も)。
とにかく買えるものを買っておかなきゃということで、普段なら絶対買わないニトリルのLLサイズ(私は通常Sサイズです)とか買ってました。試しに使ってみましてけど指先の遊びが多すぎてどうにもならなかったですね、想像通りでした。それでもないよりはあったほうがいいという感じでした、当時は。
現在ではマスク、グローブ、消毒薬も普通に入手できますが、価格はコロナ前よりかなり高いですね。グローブは2倍、マスクは1.5倍くらいでしょうか。
コロナもようやく落ち着くかと思ったら東欧の方でドンパチ始まってしまって、、なかなか落ち着きませんね。

*歯科雑学コラム目次に戻る