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皮下気腫について(歯面清掃の際に生じる偶発症)
当院では矯正治療時に歯面清掃用ハンドピースを使用してクリーニングを行っておりますが、稀に皮下気腫が生じることがございます。
ここでは皮下気腫の原因、症状、対処法などについて説明いたします。
皮下気腫の原因
歯科治療では乾燥のために圧縮空気を吹き付ける処置が多くあります。このため、歯科治療で遭遇する皮下気腫は歯面清掃に限らないのですが、当院は矯正歯科専門ということもあり歯面清掃時にのみ皮下気腫を経験しています。歯面清掃では歯面清掃用ハンドピースによるクリーニングは炭酸カルシウムなどの粉末を水と圧縮空気によって歯面に強圧で吹き付けることで行います。この際に空気が歯茎などから皮下組織に侵入することで皮下気腫が生じます。
皮下気腫の症状
空気が皮下組織に入った瞬間に痛みを生じます。ただし、それほど強い痛みでもないため診療中は疼痛を訴えない患者様もいます(ご帰宅後にご連絡を頂くこともあります)。歯面クリーニングによる皮下気腫は多くは頬部に生じ、当該部の腫れや触ったときに雪を握ったような感じがすることが多いです。発熱や発赤はありません。
皮下気腫の頻度
統計を取っているわけではありませんが、当院では2万回歯面清掃を行うと1回発症しているという頻度です。万が一という意味ではなく、実際にそのくらいの頻度で発症しているという数字です。仮に動的期間24回、保定期間8回、合計32回の通院回数を平均すると概ね600人に1名の患者様が矯正治療期間中に皮下気腫を発症している計算になります(患者様からの訴えがあって皮下気腫と診断した症例に限ります。軽度なもので自覚症状がない、患者様からの訴えがないものを含めるともう少し多いと推定します)。