HOME > Q&Aなど > 歯科雑学コラム > 迷走神経反射(歯科麻酔時の偶発症)
迷走神経反射(歯科麻酔時の偶発症)
ここでは歯科治療全般の偶発症である迷走神経反射について説明します。迷走神経反射は様々な原因で起こりえます。小学生が朝礼で倒れた、これも迷走神経反射が原因であることがあります。歯科医院では麻酔に対する恐怖心から引き起こされることの多い偶発症です。
症状
痛みや緊張、恐怖心などの精神的ストレスを感じたことをきっかけにして、めまいや吐き気、気分が悪くなる、冷や汗などの症状があり、稀に失神に至ることもあります。
原因
精神的ストレスをきっかけに副交感神経である迷走神経が刺激され末梢血管の拡張による血圧低下や心拍数の減少などが引き起こされます。このため脳に十分な血液を送ることができなくなり脳が貧血状態になることによって上述した症状が生じます。
対処法
ほとんどの場合10~20分ほど横になって休むことで治ります。もし、麻酔後に上述の症状が生じたら我慢せずに申し出てください。横になれるスペースを用意いたします。
私自身が迷走神経反射を起こしたことはないと思うのですが、スタッフと患者様で2回経験しています。
最初はコロナワクチンの予防接種の時です。2021年5月頃だったと思いますがコロナワクチンを所沢市内の医院毎に会場と時間を指定されて集団接種していた時期がありました。
小手指駅近くの接種会場にスタッフ全員で行って手続きをし、順番に接種して待合室のような場所で15分だったか待機してから帰るのですが1人のスタッフがいつまでたっても待合室に現れません。接種はとっくに終わっているはずなのに。20分くらいしてから現れましたが、聞いたら接種したとたん気分が悪くなって医師の指示で別室で横になっていたということでした。迷走神経反射だったのだと思います。このスタッフは本当に注射が嫌いで注射を打つといつも迷走神経反射を起こすそうです。
2回目は当院の患者様です。麻酔をして歯科矯正用アンカースクリューを植立し終え、待合室で待ってもらっているときにめまいを訴えられました。待合室のソファーに横たわってもらい15分程で回復しました。
迷走神経反射は横になって休むことでほとんど治ります。むしろ、我慢して失神、転倒してしまうことで頭を強く打ったりすることに注意する必要があります。