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歯科用CT撮影装置
歯科用CT撮影装置
今回は歯科用CT撮影装置についてです。
通常のレントゲン写真は3次元の構造物を2次元の画面として見る、例えていうと丸い地球を長方形の世界地図として表すようなものですから、対象物の位置関係や大きさを正確に判断できない部分が出てきてしまいます。
CT撮影装置の利点はなんといっても構造物の3次元的な位置関係を正確に把握できることにあります。とはいうものの言葉で説明するのは大変に難しいので実例を挙げながら見ていきましょう。
先ずは症例の口腔内写真です。
上顎両側の側切歯(2番)が斜めに萌出してきています。もしかしたら犬歯に押されているのかな?と違和感を感じるものの、これだけでは確たる判断は困難です。
次に同じ症例のパノラマレントゲン写真を併せて見てみましょう
解り難いとは思いますが、上顎左右の犬歯(濃青○)が上顎左右の側切歯(水色○)の位置と重なっています。犬歯の本来の萌出方向は上記の黄色い矢印の方向ですから、現状の赤い矢印の萌出方向がおかしいことは一目瞭然です。このようなレントゲン写真を見て考慮しなければならないのは犬歯の歯冠によって、側切歯の歯根吸収が引き起こされていないかということです。
別の症例になりますが、パノラマレントゲンで歯根吸収が明確に判る例を挙げます。
犬歯(黄色点線)の萌出方向が好ましくなく、運悪くその萌出方向に中切歯の歯根が存在したために中切歯の歯根の大部分(青線部分)が吸収されてしまいました。そのため、中切歯は赤い矢印の部分でばっさり切り落とされたような状況になっています(結果的には保存不可能なため抜歯することになりました)。
これは、通常永久歯が萌出する際には乳歯の歯根を吸収しながら萌出するのですが、萌出方向に永久歯があると、永久歯の歯根を吸収してしまうことに原因があります。萌出途中にある歯は、吸収してはいけない永久歯と吸収するべき乳歯の区別が付かないのです。
最初の症例に戻って、別の角度からレントゲンを撮影してみました。オクルーザルという咬合面から撮影する方法で上顎のみを撮影します。
先程のパノラマレントゲン写真よりはよくわかります。少なくとも危惧していたような側切歯の歯根がばっさりと吸収しているような状況ではなさそうですがやはりここはCT撮影をして、位置の把握を正確にしておきたいところです。
歯科用CT画像1
歯科用CT画像2
CT画像で確認することで、側切歯の位置異常に犬歯が関与していることは間違いないものの、切歯の歯根吸収といった好ましくない状況には至っていないということがはっきりと確認できます。
歯科用CTは
・埋伏歯の位置
・歯科矯正用アンカースクリューを植立する際の歯槽骨の厚みや植立部位の歯根との位置関係
を正確に把握するためにはなくてはならないものだと思います。
治療の目安
- 治療内容
- 矯正装置を通じて歯やアゴの骨に力をかけてゆっくりと動かし、歯並びと噛み合わせを治します。
- 一般的な治療費総額の目安(自費)
- 大人 唇側矯正治療 約850,000円(税込)
- 治療期間・回数
- 矯正 2年前後・1回/月 保定 2年前後・2~4回/年
- リスク、副作用
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- 治療中は歯みがきしにくい箇所ができるため、虫歯や歯周病のリスクが高くなるので、念入りな歯みがきが必要になります。
- 初めて矯正装置を装着した時や調整した後は、疼痛や圧迫感などを感じることがあります。
- 歯並びを整え、咬み合わせを改善するために、やむを得ず健康な歯を抜くことがあります。
- 歯を動かす際に、歯根吸収や歯肉退縮が起こることがあります。
- リテーナー(保定装置)を適切に使用しない場合は、後戻りすることがあります。
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