子供の歯の叢生(八重歯、でこぼこ、乱杭歯)の治療と治療費の目安|アクイユ矯正歯科クリニック(所沢市)|埼玉県新所沢駅の矯正歯科医院
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子供の歯の叢生(八重歯、でこぼこ、乱杭歯)の治療と治療費の目安

ここでは典型的なケースを取り上げて、予測される矯正治療方法、矯正治療期間、矯正治療費用の概略を説明します。患者様の症状に近い写真を探して参考にしてください。

子供の歯の叢生治療の開始時期の目安

年齢層:小学校中学年~小学校高学年

このような歯並びなら要注意です

想定している口腔内写真

子供の叢生(歯のでこぼこ)の矯正治療に関する基本的な考え方

叢生(歯のでこぼこ)とは、顎の大きさと歯の大きさのバランスが取れておらず、顎に歯が並びきらないででこぼこになっている状態をいいます。

叢生(歯のでこぼこ)は永久歯が生え揃ってから、あるいは永久歯が生え揃う一年位前から矯正治療を開始するのが一般的ですが、以下のような場合には、小学校低学年でも矯正治療を開始したほうが望ましいといえます。

  1. 叢生(歯のでこぼこ)であることにより、顎が左右に曲がって咬む癖がある
    歯がでこぼこしているため、本来の顎の位置で咬むことができずに顎を左右にずらして咬んでいると次第に骨格的な左右のズレに発展していきます。骨格的なズレは外科手術しないと治せませんから、特に早期の矯正治療が望ましい症状です。
  2. 叢生により歯周組織に悪影響を及ぼしているとき
    叢生により歯周組織に悪影響がでている状態

    この症例は前歯が重なっている(切端咬合)ために下の前歯の歯肉が退縮してしまっています。このように叢生により歯周組織に悪影響を及ぼしている場合には早期の矯正治療の対象になります。

  3. 乳歯を早期に失ってしまい、放置しておくと永久歯が生えるための隙間が無くなるなど症状の悪化が予測される場合
  4. 子供の時に矯正治療しておいたほうが、永久歯が生えてからの矯正治療が短期間に終わることが明らかである。あるいは、子供の頃に矯正治療すれば永久歯が生えてからの治療が必要なく、矯正治療費が安価で済むことが明らかだと判断されるとき。
  5. 本人がものすごく気にしており、精神発育に問題が生じる可能性がある場合。
    子供の気持ちは親からはなかなか理解しにくいものです。歯並びが原因で内気になっていたりしたらやはり矯正治療の対象となるでしょう。
  6. 審美的にあまりにも酷い歯並び(前歯の隙間が5mm以上開いている、など)である。

子供の叢生の治療を開始する時期

まずは将来の凸凹の量を予測してみましょう

ここでは当院の基本的な治療方針についてご説明いたします。患者様の症状には様々な個別要因が存在します。そのため目安程度にお考えいただき、患者様ご自身の治療に関しては歯科医師に直接ご相談することをお勧めします

 

凸凹の量(=スペースの不足量)の予測~永久歯は乳歯よりも大きい??

スペースの不足量を予測するためには「リーウェイスペース」を考えます(いきなり専門用語で申し訳ありません)。リーウェイスペースとは乳犬歯C、第一乳臼歯D、第二乳臼歯Eの大きさの合計(C+D+E)と、後継永久歯である犬歯3、第一小臼歯4、第二小臼歯5の大きさの合計(3+4+5)との差です。一般的には永久歯は乳歯より大きいと思われている方がほとんどだと思います。これは前歯に関しては確かにその通りなのですが側方歯群(犬歯、第一小臼歯、第二小臼歯)についてはその認識は誤りなのです。

上の左図がリーウェイスペースです。上顎で0.9mm、下顎で1.7mm乳歯の方が永久歯よりも大きいのです。
上顎のリーウェイスペース :乳歯C+D+E>永久歯3+4+5(0.9mm)
下顎のリーウェイスペース :乳歯C+D+E>永久歯3+4+5(1.7mm)
です。リーウェイスペースの大きさについては研究者や人種によって多少の幅をもって報告されていますし、あまり細かい数値にこだわる必要はありませんが、大切なのは
乳歯C+D+E>永久歯3+4+5
であるということです。つまり、永久歯の方が乳歯より大きい、というのは前歯には当てはまるけれども側方歯群には当てはまらないということです。

*ただし、余った上顎0.9mmと下顎1.7mmの隙間は6歳臼歯が手前に移動することで閉鎖されるので前歯の凸凹を解消するためには利用されません。

具体的に実際の口腔内写真を用いて将来のスペースの過不足を予測してみましょう。以下の写真は将来どれくらいの凸凹が予測されるでしょうか??

CASE1 :隙間が余るケース
左の写真は上顎です。乳歯C,D.Eが残存している状態で上顎前歯に空隙があります。
乳歯C+D+E>永久歯3+4+5ですから将来的に空隙歯列になることが予測されます。
CASE2:歯槽骨と歯の大きさの調和がとれているケース
左の写真は上顎です。乳歯C,D.Eが残存している状態で上顎前歯は概ねきれいに並んでいる状態です。
このようなケースは将来的にスペースの過不足がないか、あっても僅かであることが予想されます。
CASE3:中程度の叢生が予測されるケース
左の写真は上顎です。乳歯C,D.Eが残存している状態で上顎前歯に凸凹があります。この上顎4前歯を配列するためには5mm程度、余分にスペースが必要な状況です。このようなケースでは将来的に中程度の叢生が予測されます。
CASE4:重度の叢生が予測されるケース
左の写真は上顎です。ぱっと見るとCASE2に似ているようにも見えますが、この写真では写真右側の乳犬歯が既に脱落している状況です。3+4+5がD+Eのスペースに萌出することになりますからスペースが全く足りません。将来的に10mm程度のスペース不足が予測される状況です。重度の叢生となるでしょう。

 

理想的な治療開始時期とは?(上の写真と併せてお読みください)

CASE1 :隙間が余るケース

永久歯列期の治療が最も効率的といえるでしょう。混合歯列期に治療を開始する必要はありません。
*例外的に上顎の前歯の間に埋伏歯が存在することですきっ歯になっていることがあります。この場合には埋伏歯の抜歯などの処置が非超になることもあります。また、上唇小帯が原因ですきっ歯になっている場合も上唇小帯の切除が必要になる場合があります。

CASE2:歯槽骨と歯の大きさの調和がとれているケース

永久歯列期の治療が効率的であることが多いですが、このような症状の場合、不正咬合の程度も軽度であることが多いので混合歯列期に前歯部の治療を行うことで永久歯列期の治療が不要になる可能性があります。症状が軽度なので簡単な矯正装置で治療が終了する可能性があるということです。

CASE3:中程度の叢生が予測されるケース

判断が難しいのが凸凹の量が5mm前後のケースです。非抜歯を目的とするならば混合歯列期から歯列の拡大を行うことを検討しても良いでしょう。ただ、口元の突出感が目立つ等の理由で将来的に抜歯治療を行う場合には早期治療の必要性は低くなります。

CASE4:重度の叢生が予測されるケース

10mm以上のスペース不足が予測される場合には、将来的に抜歯治療が必要になる可能性が高いです。このようなケースで無理に非抜歯で治療をおこなうと口唇の突出感が悪化するなどのデメリットが顕在化してきます。
抜歯だけでは必要なスペースを確保できない、などの状況でなければ混合歯列期に治療を開始する必要性は低いです。永久歯列期の治療が最も効率的です。

結論

以上から「叢生」という症状に関しては早期治療の必要性を認める症状は比較的少ないと考えてよいでしょう。早期治療(≒歯列の拡大、拡大床)を考慮する場合においても
1:何mmスペースが不足しているのか
2:その不足量を獲得するためにどれほどの治療期間を予定しているのか
*その拡大治療の終了時期が永久歯列完成時期(個人差はありますが12歳前後)と大きくずれている場合、拡大治療終了から永久歯列完成までの期間どのような治療を行うのか。
3:拡大によってスペースの不足を解消した結果、口元の突出感が悪化(あるいは顕在化)することはないのか

最低限、この3点は十分に検討すべき項目と言えるでしょう。

 

子供の叢生(歯のでこぼこ)の矯正治療の目的

非常に軽度の叢生は別にして、中程度~重度の叢生の根本的な解決には顎と歯の大きさのバランスを整える必要があります。そのための代表的な方法として

1・顎を大きくして隙間をつくる、2・抜歯して隙間をつくる、がありますが、小学校低学年ですと、抜歯しようにも抜歯すべき歯がまだ生えていませんし、顎を大きくしようにも、一体どれくらい大きくすれば十分なのか??といったところがはっきりと分りません。なにより可能な限り顎を大きくするのに必要な期間はせいぜい1年半位です。所詮は人間の体のなかでやることですから時間をかければどこまでも大きくなるというわけではありません。そう考えると、あまり小さな頃から大きくしたところで、今度はそれを維持するための時間が無駄になります。
(関連ページ:抜歯について

子供の叢生の矯正治療の目的としては、主に機能的(顎の運動機能など)な障害を除去し、健全な成長発育を促す、健全な精神発育を促す、健康な歯周組織の状態を維持する、といったことが挙げられます。

子供の歯の叢生(でこぼこ)の代表的な矯正治療装置

想定される矯正治療期間、通院頻度

  • 矯正治療期間約1年、1か月に一度の通院

想定される歯列矯正治療費(自費)

検査・診断料金 27,500円(税込)
第一期の矯正治療基本料金 330,000円(税込)
治療毎の矯正処置料金 5,500円(税込)
第一期の矯正治療費合計 約390,000円(税込)

注・この場合の第一期の矯正治療とは主に機能障害の除去を目的とした叢生の矯正治療のことです

順調に矯正治療が進行するとここで第一期の矯正治療から定期観察期間に移行します。定期観察中は後戻りが生じていないか、永久歯の萌出に異常はないか、などを注意深く観察していきます(3~4ヶ月に1回の通院)第二期矯正治療について

第一期の叢生の矯正治療は主に機能障害の除去を目的としていました。軽度の叢生の場合には第一期治療で治療を終了することが少なくありませんが、中程度~重度の叢生の場合には、第二期治療で顎の大きさと歯の大きさのバランスを整えて、根本的な叢生の改善を計画することになります。

通常は唇側矯正という方法で行います(患者様のご希望によって舌側矯正などでの治療も可能です)。第二期矯正治療は必ず行うものではなく、永久歯萌出後、必要に応じて矯正治療をおこなうかどうかを改めて考える性質のものです。

第二期矯正治療を行う場合の基本料金の目安(自費)

第二期の矯正治療基本料金 330,000円(税込)
治療毎の矯正処置料金 5,500円(税込)
第二期の矯正治療費合計 約440,000円(税込)

注:第二期の矯正治療基本料金は、大人の矯正治療費 660,000円-第一期分でお支払いになられた矯正治療基本料金 330,000円という計算で算出されます

治療の目安

治療内容
矯正装置を通じて歯やアゴの骨に力をかけてゆっくりと動かし、歯並びと噛み合わせを治します。
治療期間・回数
矯正 1年半~2年前後・1回/2~3か月 保定 2年前後・1回/3~4ヶ月
一般的な治療費総額の目安(自費)
約870,000円(税込)
リスク、副作用
  • 歯みがきが不完全なまま長時間マウスピースを装着すると虫歯や歯周病のリスクが高くなるので、念入りな歯みがきが必要になります。
  • 初めてマウスピースを装着した時や取りかえた後は、疼痛や圧迫感などを感じることがあります。
  • 小児や骨格性要因を含む症例には適さず、精密な歯の移動は原則として困難で満足な結果が得られない場合があります。
  • 適切な装着時間を守らないと歯が動かず、治療期間も延長します。
  • 歯を動かす際に、歯根吸収や歯肉退縮が起こることがあります。
  • リテーナー(保定装置)を適切に使用しない場合は、後戻りすることがあります。

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