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マウスピース型矯正装置「インビザライン」の治療経過(1)

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~マウスピース型カスタムメイド矯正装置「インビザライン」の治療経過(1)~

インビザラインの治療の実際について書いてみようと思います。まず、インビザライン単独、あるいはインビザラインを中心に付加装置(唇側矯正装置や舌側矯正装置など)を使用するなど、ともかくインビザラインで治療する際には

  1. 歯型をとる
  2. 3Dシミュレーションの作製(クリンチェックといいます)

を行ないます。下が実際の口腔内写真とクリンチェックとの比較です。

インビザラインの治療経過 初診時 正面
初診時口腔内正面

インビザラインの治療経過 クリンチェック 初診時 正面
初診時クリンチェック正面

インビザラインの治療経過 初診時 右側
初診時口腔内右側面

インビザラインの治療経過 クリンチェック 初診時 右側
初診時クリンチェック右側面

インビザラインの治療経過 初診時 左側
初診時口腔内左側面

インビザラインの治療経過 クリンチェック 初診時 左側
初診時クリンチェック左側面

インビザラインの治療経過 初診時 上顎咬合面
初診時口腔内上顎面

インビザラインの治療経過 クリンチェック 初診時 咬合面
初診時クリンチェック上顎面

インビザラインの治療経過 初診時 下顎咬合面
初診時口腔内下顎面

インビザラインの治療経過 クリンチェック 初診時 下顎咬合面
初診時クリンチェック下顎面

いくつか虫歯があります。インビザラインは治療の最初に治療終了までの全ての装置が出来上がるので、矯正治療中に大きな虫歯の治療が出来ません(小さい虫歯は可能です。大きい虫歯も工夫次第では可能。要は歯の形が大きく変わらなければ良いということなので、虫歯の治療を行う歯科医師と緊密に連絡をとることができればあまり気にすることもありません。そういう意味ではすぐに始めても問題ありません)。今回は虫歯治療を済ませてから矯正治療を開始しました。

上下顎前歯に凸凹があります。抜歯か非抜歯か少し考えましたが審美的観点から抜歯の方が望ましいと判断し上下顎両側の第1小臼歯(4番)を抜歯することにしました。

なお、クリンチェック上の歯の上に描かれているピンク色の部分はアタッチメントといってインビザラインが苦手とする移動形式を補助するための付加装置です。実際の口腔内では歯の色と同じ材質で装着しますからこんなに目立つわけではありません。

クリンチェック上では上下顎両側の第一小臼歯(前から数えて4番目の歯)が半分しか描かれていません。これが抜歯予定の歯です。

それにしても 改めて驚くのが抜歯症例でインビザライン単独で治療が終了する症例はむしろ少数派だと思うのですがこの症例はいろんな意味でインビザライン治療に向いていたと思います。
*凸凹の程度が軽度である
*歯の平行移動量が比較的小さい
*歯の挺出を伴う移動が少ない
というようにインビザラインが苦手とする歯の移動様式が少なかったです。

初回クリンチェック完成時点での予定アライナー数は上顎28個、下顎が33個。
治療期間は長いほうで決定されるので、2週間×33個で最短で17ヶ月程度の治療予定です(実際には1回のアライナー作製で終わることはあまりなく、ケースリファイメントが数回追加されますからざっと17ヶ月の1.5~2倍、25~34ヶ月くらいの治療期間でしょうか。そういう意味では特に抜歯ケースにおいて、インビザラインの治療期間は唇側矯正や舌側矯正といった固定式の矯正装置よりも予測が難しく、なおかつ長期化する傾向にあります⇒参考

なおこの時点でのアライン社のコメントは

「大きな歯牙移動は歯体移動ではなく抜歯部位への歯冠のティッピングが生じる傾向があるため、インビザラインでは予測実現性が低いと考えられています。これらの移動を行なう際、必要に応じて補助装置を使用し、十分なモニタリングを行なってください。上下顎前歯部にティッピングおよびトルキングが加えられております。アライナー単独での歯根移動は予測実現性が低い移動となっている点をご了承ください」

となっています。製造元であるアラインテクノロジー社は基本的に治療に関する責任は有していないので、どのような症例であっても装置は完成します。
同時に「治療責任は100%歯科医師にあります。アライン社は歯科医師の指示に基づきインビザラインを製作しております。治療結果に関する責任に関してアライン社は一切の責任を負いません」という立場です。
薬の副作用なら製薬会社にも一定の責任が生じると思うのですが医療器具に関してはないのでしょうか。

以下はクリンチェック上での治療シミュレーションになります。問題は本当にこの通りに動いてくれるかどうか・・・。クリンチェックはあくまでシミュレーションであって、その通りに歯が動くことを保障するものではないからです。

下の写真は実際の口腔内でアタッチメントを装着して1つ目のアライナーを装着したところです。
半透明なのでそれほど目立ちません。ただ、このままお茶やコーヒーを飲んだりすると歯にステイン(色素、茶渋など)が付いてしまいますので飲食時には外してください。また、上下の奥歯が当たらない(咬めない)ので最初はそれなりの違和感はありますが、すぐに慣れると思います。
特に抜歯ケースにおいて顕著ですが取り外しも少し難しいこともあります。これは抜歯ケースになるとアタッチメントの数が増える(本症例では上下6箇所づつ、合計12箇所のアタッチメントがあります)ためです。ほとんど全ての患者様が想像していたよりも着脱が難しかったという感想のようです。もっともこれは時間が経つにつれてコツを掴むため比較的容易に着脱できるようになります。

インビザライン装着時 初診時 正面

インビザライン装着時 初診時 右側

インビザライン装着時 初診時 左側

インビザライン装着時 初診時 上顎面

インビザライン装着時 初診時 下顎面

治療の目安

主訴
デコボコの歯並びを治したい
診断名
叢生
年齢
33歳 女性
治療に用いた主な装置
マウスピース型カスタムメイド矯正装置(インビザライン)
抜歯部位
上下顎両側第一小臼歯
治療期間
9か月(治療継続中) / 月に約1回の通院
治療費
約870,000円(税込)
リスクと副作用
  • 歯みがきが不完全なまま長時間マウスピースを装着すると虫歯や歯周病のリスクが高くなるので、念入りな歯みがきが必要になります。
  • 初めてマウスピースを装着した時や取りかえた後は、疼痛や圧迫感などを感じることがあります。
  • 小児や骨格性要因を含む症例には適さず、精密な歯の移動は原則として困難で満足な結果が得られない場合があります。
  • 適切な装着時間を守らないと歯が動かず、治療期間も延長します。
  • 歯を動かす際に、歯根吸収や歯肉退縮が起こることがあります。

【マウスピース型カスタムメイド矯正装置「インビザライン」について】

  • マウスピース型矯正装置「インビザライン」は、日本国内では医薬品医療機器等法(薬機法)の承認を受けていない未承認の医療機器です。材料については日本の薬事認証を得ております。
  • 米アライン・テクノロジー社の製品の商標であり、インビザライン・ジャパン社から入手しています。
  • 日本国内において医薬品医療機器等法(薬機法)の承認を受けている同様の医療機器は複数存在します。
  • 1998年にFDA(米国食品医薬品局)により、医療機器として認証を受けています。
  • 日本では完成物薬機法未承認の矯正歯科装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。

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